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ユーザビリティ・コラム

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第8回 用語(Terminology)

私たちは毎日数多くの製品に触れている。その一方で製品は次々と新しい機能が追加され、その度に私たちは新しい言葉を理解しながらその製品に対応していかなければならない時代となっている。ユーザビリティー評価においても用語に関する問題点は数多く見られ、用語が製品を分かりにくくさせている要因の一つとなっている。
製品の中で使われる用語は日常会話とは違う。限られた表現の中で、製品を使うための意味を表した独自の言葉なのである。ユーザーと機械との対話として操作パネルや画面上に用いる言葉を「UI(ユーザーインタフェース)用語」と位置づけ、今回はその「UI用語」について取り上げてみる。

UI用語の重要性

人が機械を使うとき、最も大事なのはスムーズに機械との対話ができるかということである。UI用語はすぐにその意味が理解できなければならない。そしてユーザーがやりたいと意図しているどんな仕事と結びついているかをはっきりさせなくてはならない。機械を使う際に、毎回説明書を見てメニュー用語などを理解しなくては使えないというのでは困る。画面に表記されているUI用語を頼りに、機械からユーザーがやりたい操作に導いていけるようにすることが大切である。

UI用語の分類

UI用語は以下に示すような種類に分けられる。

  • (1)機能群のカテゴリを表す用語:
    • メインメニューやタブなどに使われる用語 …「ファイル」「編集」など
  • (2)個々の機能を表す用語:
    • 「用紙選択」「濃度調整」など
  • (3)各機能のパラメーターを決める用語:
    • 段階・値・程度を表した用語 …「A3→A4/A4→A3」「こく/うすく」など
  • (4)操作作法を表す用語:
    • その機械やOSなどが持つ基本的な操作ルールに基づく用語 …「スタート」「ストップ」「次へ」「前へ」など

1. 機能群のカテゴリを表す用語

図-1 機能群のカテゴリを表す用語の例

図-1 機能群のカテゴリを表す用語の例
4つのタブに端的な用語でまとめられ、それぞれの用語を比較して違いがわかるようになっている。

機能を分類し、それぞれの分類に名前がつけられているもの、つまりメインメニューやタブに表記された用語である。用語は短く端的に表現し、その中にどんな機能があるのかをイメージできるようにする。そして比較して相互間の分類の違いがはっきり分かる用語にし、似たような用語でユーザーを迷わせないようにする必要がある。また、分類の数はあまり多くならないように注意する。

2. 個々の機能を表す用語

図-2 A社のデジタルカメラ

図-2 A社のデジタルカメラ

図-3 B社のデジタルカメラ

図-3 B社のデジタルカメラ

図-4 C社のデジタルカメラ

図-4 C社のデジタルカメラ


図2~4:個々の機能を表す用語の例

デジタルカメラの画質機能を見てみると、図2は「画質」、図3は 「クオリティ」、図4は「記録画質」と表記されている。その下位層の用語またはアイコンも合わせて見たときに、どのような機能なのか理解しづらくなる場合がある。


パラメーターを決める用語とは、対象機能に対する設定項目や変数などの用語である。用語だけではなくアイコンやイラストと組み合わせることで、その設定内容が伝わるような工夫が必要である。また設定項目が複数ある場合、それぞれの程度の違いが視覚的に直感できるようにすることも大切である。

3. 操作作法を表す用語

図-5 操作作法を表す用語の例

図-7 操作作法を表す用語の例
設定ダイアログの「ページ設定」を押すとさらに表示される設定ダイアログ。
上下ダイアログにある「キャンセル」「OK」は「キャンセル」を押すと設定されず元の画面に戻り、「OK」を押すと設定を変更して元の画面に戻る、という使い方が一貫されている。

操作作法を表す用語は用語とアクションを統一し、使い方を一貫することが最も重要である。「前へ」と「戻る」や「OK」と「実行」など意味合いが似ている用語が存在する場合は、画面レイアウト(ボタンの配置)も一緒に考え操作作法の区別を明確にする工夫が必要となる。詳細の設計に入る前に操作作法(概念モデル)を検討し、その中でこれらの用語も検討することが望ましい。
UI用語だけで機能を表現することは難しい。用語だけを取り上げて考えようとするのではなく、画面デザインや操作構造、アイコンデザインなども一緒になって取り組むことが効率的かつ効果的である。

以下にガイドラインを記載する。


デザイン・設計ガイドライン

  • (1)想定ユーザーが理解できるような用語を使用すること
  • (2)複数の選択ができる曖昧な用語は極力使用しないこと
  • (3)類似した用語は明確に区別すること
  • (4)用語だけではなくイラストやアイコンを併記することで機能内容を明確に表現すること

なお、UI用語の表記に関する標準化については、「社団法人 日本事務機械工業会 UI用語作成ガイドライン(http://www.jbmia.or.jp/hyojun2/upload-v3.2/list.cgi)」、「CRXプロジェクト ユーザーインターフェースガイドライン(http://www.crx.gr.jp/)」を参考にしていただきたい。