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ユーザビリティ・コラム

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第5回 概念モデル (usermodel):システム全体の関係・各機能間の意味づけ

今回は「概念モデル」について考えてみる。みなさんがコピー機を使ってちよっと複雑な仕上げを考えたとする。例えば6ページものの片面の原稿をもとに両面にして、ステイプルどめして5部コピーを作成したい。その操作手順を事前に思い出してきちんと紙に書いてみようと思った時、なかなか正確に書けない事が多いはずである。しかしコピー機の前で操作を行うと自然に設定が出来てしまうといったことはよく経験する。

ユーザーは操作のイメージ(操作ルール)を記憶している

複合機を代表として最近の多くの製品はコンピューターを内蔵し、ソフトウエアで動いている製品が多い。これらの製品は一般的に多くの機能と複雑な操作を詰め込んだ製品が多い。そんな中、ユーザーは日常使用する何十種類もの身の回りの製品の、全機能にわたる詳細な操作手順を全て頭の中に記憶して製品を使用しているわけではない(業務のプロは別だが)。
ある程度、操作方法を習熟したユーザーでも記憶しているのは、詳細にわたるフロー(手続き)ではなく、その製品がもつ特有の操作の作法(ルール)レベルを学習し、その操作ルールを応用しながらいろいろな機能を使いこなしているわけである。それらの操作のルールを製品ごとにまとめて体系化したもの「概念モデル」のデザインが使いやすさを決める大きな要素になる。
概念モデルをユーザーに見えやすく、わかりやすく、シンプルで一貫したものにデザインすることにより、ユーザーがそれを応用して、いろいろな機能を容易に使いこなせるようにすることが必要となる。

概念モデルとは (図-1)

対象の製品がどんな機能をそなえているのかという機能構成図。1つひとつの操作フローを解説した「使用説明書」に対して、ユーザーがその製品を使って目標を達成するために行う行動や、それらの各操作機能間の関連を構造図化したものを「概念モデル」と位置づける。つまりユーザーが目標を達成するために行う操作のイメージ(ユーザーが頭の中に描く)、操作の全体構造を鳥瞰図的に現わしたものである。

図-1 概念モデルの位置づけ

図-1 概念モデルの位置づけ

概念モデルの要素 (図-2)

概念モデルを構成する要素になるものはどんなものがあるのか、以下に代表的な要素を示す。

  • (1)その製品の操作の入り口と出口
  • (2)モード(大きな機能群)の切り換え方法
  • (3)次の場面や階層へ進む方法 (次へ移りたい‥‥)
  • (4)1つ前の場面や階層へ進む方法 (前へ戻りたい‥‥)
  • (5)項目の入力や選択の方法 (設定したい)
  • (6)1つの機能(目的)を完了(実行)させる方法 (実行したい/スタートしたい‥‥)
  • (7)作業の途中で中止する方法 (止めたい)
  • (8)完了して現在の機能から抜ける方法 (抜けたい‥‥)
図-2 概念モデル図(ホームファクス)

図-2 概念モデル図(ホームファクス)

概念モデルの表現要素

  • (1)基本的な用語のルール
  • (2)機能のグルーピング
  • (3)カラーのルール
  • (4)画面上のレイアウトルール
  • (5)その他

概念モデルの位置づけ

製品の開発プロセスにおいては、開発の初めの段階(設計構想段階)で基本的な構造が決まってしまう。開発が進んだ段階ではGUI全体を鳥瞰図的に眺めて検討することはむずかしい。同様に開発が進んだ段階でのユーザビリティーの評価と改善の反映も一般的には詳細部分に限定される場合が多い。従って使いやすい製品をデザインするためには、「概念モデル」のデザインを開発プロセスの初期段階に位置づけて、先行させることが大変重要となる。

デザイン・設計ガイドライン

  • (1)システムイメージのわかりやすさ

    • ユーザーの抱く、システム全体のイメージと実際の製品のシステムがもつモデル(システムの構造)とが合致していること。
  • (2)シンプルな操作構造

    • 1~2回の操作体験で基本の操作構造(操作のルール)が覚えられるようになっていること。
  • (3)機能の適切なグルーピング

    • 1つの製品の中に複数のモードが存在する製品の場合は、それらの違いが明確にユーザーに伝わるようになっていること。