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ユーザビリティ・コラム

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第4回 仕事への適合性(suitability for the task)

仕事への適合性とは?

今回は「仕事への適合性」という原則について考えてみる。「仕事への適合性」とは「ユーザーインターフェースを使って、ユーザーが目的とする仕事をうまく導いてくれるための支援がなされているかどうか」ということである。
ここでは事例を3つ挙げて解説する。


例1.思った時にいつでも出来るよう支援する


ある複合機※1のファクス機能で宛先登録をするときは「初期設定」に入り、その中で「ファクス初期設定」を選択するという操作になっている。ユーザーはファクスを送った後にその流れで宛先登録したいと考える場合もある。これは携帯電話では一般的な作法になっている(一部の機種除く)。携帯電話においてリダイヤルから電話帳に登録できる流れは自然なことで、ユーザーのやりたいことを実現している良い例である。---図-1.

※1 複合機とはコピー、ファクス、プリンター、スキャナーなどの機能を持つ機械のこと。

図-1 リダイヤル画面から右下の「登録」を押すと電話帳に番号を登録出来る

図-1 リダイヤル画面から右下の「登録」を押すと電話帳に番号を登録出来る

例2.結果の比較・検討を支援する


WebのEC(Electronic Commerce:電子商取引)サイトで買い物しようと検索すると、結果が複数表示される。条件項目を入れてそれに対しての解が複数ある時、比較して検討する。商品の比較・検討がしやすいように「比較する」というボタンが用意されている。複数選択された結果に対して自分の気になる商品だけを比較出来ることは、ユーザーのやりたいことをうまくサポートしている。---図-2.

図-1 比較したい複数の商品にチェックを入れた後「比較する」ボタンを押すとチェックの入った商品のスペックや価格などを自動的に一覧にしてくれる

図-2 比較したい複数の商品にチェックを入れた後「比較する」ボタンを押すとチェックの入った商品のスペックや価格などを自動的に一覧にしてくれる

例3.頻繁に行う操作・作業を効率的に支援する


複合機の機能として設定されている「プログラム」キーは、よく使う設定内容を記憶させることによって、キー操作1回で設定内容を呼び出すことができる機能である。いつも決まった形式でコピーするユーザーに対して支援をしている良い例である。
---図-3.
では「仕事への適合性」といった視点をふまえてユーザーインターフェースデザイン開発するには、どうしたら良いか考えてみる(具体的にやらなくてはいけないこと)。

図-3 「プログラム」はハードキーで用意されているので、ワンタッチでよく使う機能を呼び出すことができる

図-3 「プログラム」はハードキーで用意されているので、ワンタッチでよく使う機能を呼び出すことができる

ユーザーインターフェースデザイン開発

(1)ユーザーの利用実態を知る

ユーザーの仕事や生活の中で対象の製品がどのように使われているのか、何が不便で何が必要なのかを知るため、直接話を聴いたり、仕事や生活を観察することが大切である。つまりユーザーの行う仕事の特性を明確にして、製品をその仕事に合わせることが必要である。


(2)開発のときにユーザー行動を考慮しながら検討していく

開発の過程で設計のしやすさや実現可能性を中心に検討しがちである。これではユーザーをどのようにサポートすれば良いかの判断が正しくできず危険である。何もない状態でユーザーを意識し、設計していくのは難しい。そこで開発の上流工程において「ペルソナ※2」などを使い、ユーザーを意識する工夫が必要である。

※2ユーザーの代表となる架空のユーザーを設定し、そのユーザーの要求に応えるように設計していくという方法の一つ。「コンピュータは、むずかしすぎて使えない!」(アランクーパー著)で詳細が取り上げられている


(3)ターゲットユーザー参加型の評価をする

評価をするときはその製品のターゲットユーザーの参加が不可欠である。そうすることでターゲットユーザーと設計者の製品に対する考え方や、使い方についてのギャップをより知ることができる。ユーザビリティー評価のときは、実際に製品を利用するユーザーにできる限り参加してもらうのがよい。

つまり「仕事への適合性」とはユーザーの行う仕事の特徴を明確にして、その仕事にあったインタラクションを提供することが大事である。

以下にガイドラインを記載する。


デザイン・設計ガイドライン

  • (1)タスク指向設計:

    • 操作のフローはユーザーの行うタスクに合致していること。
  • (2)効率性:

    • 頻繁に行われるタスクはシステム側で用意しておくこと。
  • (3)柔軟性:

    • データ表示、データ入力に対し、利用者による制御の柔軟性を持たせる。